FC2ブログ

彼氏 卒業編 31

214_20100828135058.jpg


イラスト/ 菌うさぎ


読者の皆様
いつも読んでくださってありがとうございます☆

続きを読まれる方は
ぜひ、コチラからどうぞ
↓↓↓↓↓↓↓↓

「神楽」
沖田の言葉にハッとして上を見上げた。
「す、すごいアルナ……隣だって……」
自分が今笑っているのか、笑えてないのか分からないけれど、沖田の顔は心配そうに神楽を見下ろしていた。
「とりあえず、部屋に戻ろう」
沖田の言葉に、頷くと二人は部屋の中に戻った。
「止めるか……引っ越し」
「え?」
沖田の言葉に気持ちが一気に揺れたけれど、神楽はゆっくりと首を振った。
この部屋に家具がある事をしって、二人の家具はほとんど処分してしまった。今更どこかに引っ越すとしても、契約金もない。自分のわがままで、沖田を振り回したくないと思っているのに、そんな事出来るわけなかった。
「大丈夫よ、ほら、お隣さんって事はすぐ引っ越しちゃうデショ?」
沖田に声をかけながら、自分自身にも言い聞かせているように感じた。
神楽が思っている事は、沖田も勿論感じていた。今更どこかに引っ越すと言う事がどれくらい難しいのか分かってないわけじゃない。それでも目のまえで見る神楽をそのままにしておくよりは、ずっといい。
沖田は神楽に目線をあわせるように向き合うと、ゆっくりと言葉を口にする。
「俺にとって、大事なのは場所じゃなくて、オメーでさァ」
すると、神楽はゆっくりと沖田の手をとり自分の頬に添えた。
「分かってるアル。だから私にとって、お前と毎日一緒にいる事が出来るこの家が大切なのヨ」
沙良が隣の部屋にいると分かって動揺したのは本当。でもそれだけでやっと手にいれた沖田と二人の部屋を手放す事も出来ない想いが、どんどんと胸の中で大きくなるのを感じた。
「だから大丈夫ネ!」
神楽が目の前で微笑む様子を見た沖田は、頬に添えているその手でそのままうなじをひいた。
ゆっくりと近づいてくる沖田の瞳に見つめられると、神楽はそっとその瞳を閉じた。

「かっぐらちゃ~~ん」
ガチャっとドアを開けたのは、また子。
あと数センチと言ったところで、邪魔をされた形となり、沖田はゆっくりと目をとじうなだれた。
二人の距離に察したまた子は、空笑いをしながら近づく。
「もしかして、邪魔しちゃったっスか?」
ほぼ確定だが、一応お伺いをするように近づくと、神楽は苦笑いをしながらも、また子が来てくれた事を嬉しそうに手招きした。

「はい、どうぞ」
神楽は沖田が冷やしていたジュースをまた子に差し出した。
「めっちゃ綺麗な部屋じゃないッスか」
また子は、神楽と沖田の新居を興味深そうに見まわす。
「いいっスねえ」
新居をお祝いしながらも、高杉との事をイメージしたように羨ましがるそぶりを見せる。
「お隣はどんな感じの人なんスか?まさか変人とかってオチだったらウケるっスよ」
ケラケラと笑うまた子だが、その会話に二人とものってこなかったのを不思議に思ったのか、首を傾げた。
「もしかして……本当にヤバイ系の人が居るっスか?」
どんな想像をしたのか分からないけれど、神楽の身を案じるように、また子は少し真面目な顔になった。
神楽は、困ったように返答を濁すそぶりを見せると、また子はその視線の流れを沖田にうつした。
沖田はあえて名前を出したくないように、目を伏せ、頬をかいた。
「マジっすか……、一体どんな奴なんスか」
ゴクリと喉をならすまた子に、神楽は話題を変えようと立ち上がった。
「その話はいいから、ほら、他の部屋もめっさ可愛いアル」
また子の手を握り立たせると、神楽は寝室を見せようと手を引いた。
連れられて行くまた子だが、やっぱり隣人が気になる様子。もし本当にとんでもない様だったら、既に沖田が動いているはずだ。もし沖田一人じゃ手に追えないような相手だったら、とそんな事を頭でぐるぐると考えているようだった。
「マジで、どんな奴なんスか!めちゃくちゃ気になるっスよ!」
また子の言葉は、少なからず神楽にも予想は出来ていたようで、神楽は覚悟するように口をひらいた。
「あの人ネ」
「だからあの人って、どの人っスかっ……て……?あの人……」
あえて名前を言わなかったのは、知らないんじゃなくて、言いたくないから。そして神楽が「あの人」と言う言葉を使う人物にまた子は、一人しかあてがなかった。
「嘘……マジっすか?」
また子の言葉に、あきらめた様に神楽は大きくうなずいた。
神楽の目の前で、また子は見る見る間に、ムンクの叫びの様な表情をさせた。
「どどどどうするっスかぁ!!!」
「どうするもこうするもないネ」
驚くなら、さっき散散驚き、人通りの感情を一周させた神楽は、また子の目の前で、平静をいくらか保てた。

「ないネ、じゃないっスよ!何でよりによって隣何かに引っ越しちゃったっスか!」
「そんなん私の方が聞きたいネ」
「あーもうっ、なんでまた……」
神楽が運命を呪ったように、今まさに、また子は運命を呪っていた。
お妙やミツバには、話していない事も神楽からは色々と相談されているし、聞かされている。だからこそこの状況が我慢できないのはまた子も同じだった。
「とにかくっ、絶対近づいちゃダメっスよ!あの女に」
また子は、神楽の肩を持つとがくがくと揺らした。
「わ、分かったアル」
自身の身体を揺らしながら、神楽はまた子の言葉にうなずいた。
そんな事を二人で話していると、沖田のリビングから人の声がした。それはどれも見知った声で、二人が寝室から出ると、今到着したであろう、お妙とミツバ、土方と近藤が居た。

「あら、またちゃんは先に来てたのね」
言いながら、お妙は持ってきた手土産をテーブルの上に出している。
ミツバは、神楽に沖田と二人で飲む事が出来るコーヒーカップを買ってきてくれたようで、それを神楽に手渡した。
「同棲、おめでとう神楽ちゃん。総ちゃんと仲良くしてね」
「わっ、可愛いアル!ありがとうネ」
ミツバはふふっと笑うと、お妙の手伝いをするように台所へとたった。
土方は律儀に現金を入れた封筒、近藤は大きな米袋を持参してきてくれたようだった。

台所に立ったミツバは、近藤と土方にコップに注いだドリンクを手渡す。
既に男三人は話をしているようで、神楽とまた子はお妙を手伝う為に台所にたった。
「素敵な部屋じゃない」
お妙にそういわれて、神楽は嬉しそうにうなずく。そこですかさず声をあげそうになったまた子を肘でコツンとこづいた。
このお祝いムードを、変に曇らせたくないと思った神楽の気持ちはすぐにまた子を大人しくさせた。
「今日から、ここが神楽ちゃんと総ちゃんの家になるのね」
お妙とミツバは、二人の同棲をとても喜んでいるのが伝わってきた。
「喧嘩しちゃダメよ」
お妙は意地悪そうにそう言った。
「分かってるネ、私の心が寛大だから喧嘩なんてしないアル」
「ま、本当かしら?」
くすくすと笑うミツバの言葉に神楽は本当だと頬を膨らませる。
四人の中で、たわいもない話が流れる。
すると、突然、部屋のチャイムがなった。
神楽とまた子は、思わず目線を交わした。ここには既にメンバーは揃っている。そして今日届くはずの荷物もない。
「はーい」
神楽とまた子の足が動かなかったのか、そう変わりに返事したお妙は、そのドアをガチャッとあけた。

・・・To Be Continued・・・・・


Category: 彼氏 卒業編
Published on: Mon,  11 2019 11:16
  • Comment: 0
  • Trackback: 0

0 Comments

Post a comment